異素材使いのコットンTシャツは、ボリュームスリーブがポイント。
ボディ部分は肌ざわりのいい綿素材を使用しており、ブラウス感覚で着れるデザインTシャツです。
2022/09/05
ファッションをより楽しむなら、シルエットやディティールだけでなく、素材からアイテムを選ぶのもおすすめです。
一度は耳にしたことがある生地の種類も、実はどんなものが原料になっているか、イマイチわからない方も少なくないでしょう。
そこで今回は、3つの繊維について解説しながら、生地の種類と特徴をご紹介します。さらに季節ごとに適した生地や、生地別で知っておきたいおすすめアイテムも併せてお伝えします。
繊維は植物や動物の毛などの天然素材を原料とした「天然繊維」と、合成繊維や無機繊維といった化学的なものが原料となった「化学繊維」の2つに分かれています。
さらに化学繊維は石油系を原料とした「合成繊維」と木材を原料とした「再生繊維」に分類され、原料が大きく異なります。
3種類の繊維の違いは原料と製造過程にあり、天然繊維以外の2つは化学的な要素が含まれた繊維ということになります。
天然繊維とは天然素材が原料となるものを指します。綿や麻を原料としたものを「植物繊維」、アルパカや羊(=ウール)の毛を原料としたものを「動物繊維」と呼び、主に以下の5つの生地が天然繊維といわれています。
天然繊維は短い繊維を撚り合わせて一本の長い糸に仕上げていきます。一本一本の仕上がりが均等ではないので、味わいや風合いがそれぞれ異なるのが特徴です。
合成繊維とは石炭や石油などを原料に、化学的な技術や薬品を使って作る化学繊維の一つです。強度や耐水性、耐薬品性など優れた特徴をもっていることから加工がしやすく、さまざまな季節に対応した洋服を生産することができます。以下の4つが主な合成繊維の種類です。
合成繊維は大量生産ができるため他の繊維に比べて低価格であり、多くのファッションアイテムで使われています。
合成繊維と同じく化学繊維の一種である再生繊維は木材などから繊維の原料となる植物のセルロースを化学的な方法で取り出し、繊維として再生させたものを指します。以下の4つが代表的な再生繊維です。
再生繊維は植物由来のものが多いですが、ペットボトルを再利用した「ポリエステル繊維」といわれる種類もあり、エコな繊維としても知られています。
春 | 夏 | 秋 | 冬 | |
---|---|---|---|---|
綿(コットン) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ウール | 〇 | 〇 | ||
ポリエステル | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
レーヨン | 〇 | 〇 | ||
キュプラ | 〇 | 〇 |
繊維はそれぞれ通気性や吸湿性、保温性などの機能が異なります。そのためファッションアイテムも素材によって着心地や暖かさなどが変わり、季節によって適しているものが異なります。
例えば、羊の毛から作られるウール素材は、縮れ(クリンプ)が空気を含むことで、熱を逃がさない性質があるため、秋・冬に適した素材です。
レーヨンは通気性が良く吸水力が高いので、汗をかきやすい夏に適した素材といえます。季節に合った素材で洋服を選ぶと、季節感が出せるだけでなく、機能性も確保できます。
ここからは、繊維ごと特徴と主なアイテムについて見ていきましょう。繊維の素材ごとの機能性も併せてチェックしてみてくださいね。
綿(コットン)とは綿の種子から取れる繊維のことです。吸水性に優れており、熱にも強い特徴をもっているため、非常に丈夫な素材といえます。また夏は涼しく・冬は暖かい素材であるため、オールシーズン身につけられるのもポイントです。染色しやすく、発色が良いこともコットンの特徴です。
最近では、オーガニックのコットンを使った洋服や小物が増えており、原料が作られる段階からこだわれる素材ともいえます。
綿(コットン)は肌触りが良い素材なので、肌着や下着などのインナーにも多く使われる素材です。お手入れもしやすく、通気性がいいことから春夏はTシャツなど多く使われます。また、ブラウスやパンツ、トレーナーなど幅広く使われており、一年通してファッションアイテムにもおすすめの素材です。
ウール とは羊から刈った毛を加工した繊維のことです。ちりちりと縮れていることが特徴的で、伸縮性に優れていることがポイントです。縮れた繊維は風を通さず、繊維の隙間に熱を溜めてくれることから、保温・断熱機能が高い素材です。また弾性が高いことから、型くずれしにくく、シワになりにくいのも特徴です。一方で非常に虫が付きやすいので、保管には注意が必要です。
ウールは保温性・断熱性が高いことから、セーターをはじめとする冬物の衣服に多く使われる素材です。また透湿性(吸湿性+発散性)が非常に高い素材でもあるので、夏場は、シャツやパンツなどに取り入れるのもおすすめです。汗をかいてもウールが吸収し、服の外へと逃がしてくれるので、暑い夏も快適に過ごせる素材です。
化学繊維の代表ともいえるポリエステルは、洋服に1番多く使用されている繊維。ポリエチレンテレフタレートという、ペットボトルと同じ素材から作られています。コットンのような滑らかな手触りが特徴で、シワや型くずれが起こりにくく、非常に強く丈夫な素材です。また乾きも早いので、汗をかきやすい夏場に適しています。
ポリエステルは汎用性の高い繊維であるため、使い勝手が良いのが大きなポイントです。ブラウスやカットソー、ボトムスやスーツなど、幅広い衣服に使用されています。
吸汗速乾や防臭防菌など、体を動かすシーンに適した機能も持ち合わせているので、機能性の高い素材として親しまれています。
フロントのフリルが女性らしい印象のジョーゼットブラウス。
伸縮性に優れており、生地に弾力があるジョーゼット素材は、シワを気にせずに着用することができる嬉しい素材。
レーヨンは木材の中の繊維を使った素材です。シルクのようなサラサラとした滑らかな触り心地で、高い吸湿性・吸水性が特徴です。光沢感があり、上質な素材に見せることができるのもポイントです。ただし水に弱く縮みやすいという特徴があるため、ホームクリーニングには注意が必要です。
レーヨンはドレープ性に優れていることから、しなやかな動きを出してくれるので、スカートにおすすめの素材です。シルクのような光沢感と上質感がありながらも手頃な価格で手に入るため、普段使いしやすいのもポイントです。またアロハシャツなどにも使われています。
女性らしいフォルムと、裾に向かって広がる美しいシルエットが魅力的なマーメイドラインのスカート。
秋冬らしい千鳥格子のプリントは細かい柄なので、柄の印象が少なくコーディネートしやすい。
キュプラは綿花を取った後の茎部分の繊維から作った素材です。レーヨンと同様に光沢感と滑らかな触り心地で、吸湿性があるだけでなく、静電気が起きにくいという特徴があります。染色性にも優れているので、色のバリエーションが豊富であり、色落ちもしにくいので、いつまでも鮮やかな色味を保つことができます。
キュプラはシャツやブラウス、ワンピースなどにおすすめの素材です。洋服の裏地にも使われることが多く、サラッと洋服を着こなすことができます。また水に強いポリエステルを混紡した生地のアイテムを選べば、キュプラ特有の洗濯による縮みやシワを避けることができます。
ファッション繊維はそれぞれ原料や製造過程だけでなく、機能性にも違いがあります。季節や着用場面に合わせて素材を選ぶことで、ファッションの幅が広がり、アイテム選びが楽しくなるでしょう。
こちらの記事を参考に、アイテムを素材から選んでみてはいかがでしょうか。
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。